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第一章 調香師という家系に生まれて 8 調香について

(この物語は、フィクションですが現実の調香の世界のあり方を元につくられてます。物語の中には、よく似た企業などの名称が出てきますが、あくまで想像の産物であり、現実との関係は読者の判断に委ねてあります。)
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 これを読んでいる方は、調香の世界というものが、よくわからないところもあると思いますので、簡単に説明していきます。世の中に氾濫というか出回っている香りの中で、いわゆる調香をされていない香りというのは殆どないと言っても過言ではありません。

 アロマなど、単品の香料などには自然から抽出したそのままのものがありますが、食品香料から始まって、コスメや入浴剤、洗剤や歯磨きさえも、調香された香料が組み込まれています。それらの多くは、あるパターンのようなもので調香されていますので、一見すると可も無く不可も無くというものにされていますが、果たしてそれが、心や精神的なものにどう影響されるかは、未確認の部分が多いです。

 特にケミカル香料などは、その仕組みがとても複雑で、自然の香りを分析し、それに近い香料に近づけていきますが、その過程で人によって良くないものが出来ている可能性もあるような気がしています。今、この香りの世界の中でも、天然の香料の質が落ちているために、色々なほかのケミカルの香料で補っていこうとしています。

 自然の中の香料、例えばバラでもアセトンやベンジンなど約100種類ほどのケミカルが解明されていると言われていますが、これだけバラに似た香料が出回る中で、未だにオリジナルに忠実な香料を作り出すことはまだまだ、不可能なようです。単価の問題やバラに似たケミカルの香料は、むしろ本物のバラの香料よりも主張することもあって、その解明を進めるよりも、安易にケミカルの香料を使うほうが企業などは求めていきますし、一般の人もその見えない世界に対して、何も主張をしていきません。

 香りや、匂いというのは様々な文化や文明、社会や人の関係を作り出す元になっているような気がしています。折角立派な建物をつくっても、そこに無臭の空間しか無ければ、何も心の休まる空間を作り出すことはないような気がします。竹やヒノキ、桐や杉などそれらの木から放香するものからは、時間を重ねるとともに、深い香りを生活の中で作り出していくことにもなります。

 調香というと難しいようですが、自然は常に様々な匂いや香りを組み合わせて、時には神々しい雰囲気を作り出すこともあります。匂いが合わない木々は、自然にそれらを遠ざけ、落ち葉がおち、それがまた土をつくって深い匂いをつくっていきます。そういう意味では、深い森こそが、様々な匂いや香りが交じり合った調香の極地だと言ってもよいかもしれません。

 調香のセンスとか技術といっても如何にそういった自然の中の匂いを記憶しているかにあるのではないかと思っていますし、主人公の一家もこの事態に再び、自然に戻ってその解決方法を見出していこうとします。

 また、調香に限らないと思いますが、その組み合わせに失敗するとどれだけ良い香料をつかっても、何とも耐え難い香りをつくってしまうこともあります。天然の香料というのは、貴重なものほど、とても繊細で複雑な部分を多くもっていますので、使い方を間違えるとリラックスできるどころか、気持ちや心を深く落ち込ましてしまうものも出きてくることもあります。良い香料さえ使えば、良い香りが出来るというのは、香りの世界にはあまりあてはまりません。

 デーモンの香りというのは、具体的には何か心をむき出しにさせてしまうような香りだと考えています。現代は、心を守るどころか、剥き出しにして生きているような気がしてなりません。香りや匂いがそうさせたとは、言いがたいかもしれませんが、長い時間の中では可能性はあるような気がしています。

 今後のストーリーについては、最初に大まかに説明したとおりで、細かいところは毎日思いついたことを書いていきます。香りが、いかに人の生活や心にかかわっているかを感じていただければ幸いです。


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by fenice2 | 2010-02-23 00:16 | 香りの小説
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