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香りの小さな世界ー夢と香り

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 アロマの使い方が普及したのは良いのですが、香りの世界がどうも大雑把なものにされていまったような気もしています。自然の香りの中には、幾ら天然でもそれが一つだけしかないという場所はそれほど多くはないように感じます。

 仮にラベンダー畑があったとしても、やはり土の匂いはありますし、遠くからは森の木々の香りが漂ってきているかもしれません。ただ、ストレスの多い人や自然とは離れた環境に人はいると、そういった本来の自然のバランスの香りの背景みたいなものから遠ざかってしまいます。

 バラには、確かに心地よくさせる香りの力があるのかもしれませんが、それもバラ園のようなところで聞いた香りと、花やの軒先で聞いた香りは、同じようでもかなり違います。香水の構造にはトップからラストまでの分類がありますが、それさえも僕は時々面倒に感じることもあります。

 残念ながら、日本の香道はいまや形だけのものになっていますが、本来人間が深い香りを見分けるという精神的な鍛錬があるのですが、今は癒しという言葉の前に役割を果たせなくなっているのではないでしょうか。

 香りは、本来は小さな世界を作り上げるものです。誰でも感動させる香りをつくったり、大きなホールで同じ香りを芳香させることは、合っているようで間違った香りの用い方なのでしょう。最近ホテルなどで、少し強めのアロマが漂っているとちょっと憂鬱な気持ちになります。

 ふと感じる懐かしい風景の場所でも、ほんのわずかに風向きが変わるだけで様々な匂いが飛び込んできます。そこで感じる心地よい香りは、風景は広大でも香りの世界はとても繊細で小さな世界に他ありません。

 自分だけが、感動できる場所は実際にはそれほど大きな場所ではないような気がします。それは本当は嗅覚だけの問題ではないようです。多くの人が喜んで共感できる場所もよいですが、本当の意味で自分が満足できる場所は自分にしかわかりません。

 香りを作り上げるときもいつも小さな世界を認識していただくことから始まります。しかし、大抵の人は大きな世界で嗅覚を感じることに慣れています。自分が本当に望む香りよりも、誰かが良いとされるようなものを選びたがります。

 動物は逆に香りではないですが、自分の匂いについてはそれを大切にします。人は自分の匂いはなるべく消そうとします。それは良いとしても、自分が本当に望む香りを求めていかないと空しく感じるのではないでしょうか。

 香りを持つことは、夢を持つことと同じではないかと思うことがあります。夢を与えるといっても香りが無ければ、なんのことかわかりません。

 夢は、香りから感じるものです。視覚から抱くものは幻想が多いです。都会にはそういった夢しかないような気がします。香りにしか夢につながるのはないといったら言いすぎでしょうか。

 
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by fenice2 | 2010-11-25 18:56 | アロマ 香り
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