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欝にならない香り選びー心に忍び寄る滅びの匂い

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 NYでテロが起こってから、NYの市民の香水や香りに対する好みや嗜好ががらっと変わったように、香りと社会の出来事とは密接な関係があります。日本の経済が強くバブルのような時代には、とても刺激的な強い香水が流行ったものでした。

 しかし、僕がもっとも関心を寄せるのはそういったように香りが時代の流れとともに変化していくということは、その逆のものを封じていようとしているように考えています。

 今の時代は、癒しとか穏やかなイメージの香りが好まれていますが、なぜそういう香りが好まれるのか、香料の範囲では木々の香りや、グリーンをイメージするものが多様されるようになっていますが、そこにははっきりとした理由があるはずです。

 都会生活者が、日々の生活の中から失われてきたというのが大きな理由ですが、しかし本来自然に囲まれた地方でもそれらの香料を必要とする人たちが多いのでなんとも不思議です。人は、疲れたら確かに自然に入れば癒せますが、それだけで補えない心の暗さや深みもあるのも事実だと思います。

 逆をいえば、富士の樹海のようにいかにも自然のにおいが濃い場所でも、人は絶望を癒すどころか余計にその気持ちを高ぶらせてしまうのは何故でしょう。本来落ち着くべきはずの香りも、マイナスの効果を発揮する場合もあるように思います。

 人の心が、傷つき荒んでいった経緯は様々ですが、社会や世の中の滅びの匂いのようなものに触れたのは事実だと思います。滅びの匂いとは、何かと言われれば、精神世界では悪魔のような存在でしょうし、人の気持ちから生まれた恨みや執念、そのほかの醜い感情の集まりだといってもよいかもしれません。

 年に何回か玉藻のように、作品をつくるのは一人一人の調香をいていくうちに、こういった滅びの匂いのような共通のイメージがあることに気づかされるからです。去年から、鬼門香や厄香などもつくりましたが、自分で調香していても似ているような印象が多くありますが、それらの匂いが、まだまだ世の中の奥深い部分を流れているからだと思っています。

 よくどのような香りを聞けば、暗い気持ちから開放されるかなどと質問されますが、松やローズウッドなど木々の香りをお勧めしますが、やはりこの玉藻のように滅びの匂いをよく意識したものを使っていただくと人によって、とても喜ばれています。

 僕の香りの作品は、薬のような部分もありアートのように感動する部分もありますが、それだけ嗅覚で作り出していくのは、緻密な部分も多いのでどうしても伝えるが億劫になってしまいますが、今年は頑張って伝えていこうと思っています。

 
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by fenice2 | 2011-01-19 20:10 | 滅びの匂い
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