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香りに住む魔物

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 香りは、目に見えないものだけにイメージによって幾らでも変わる部分があります。オレンジでも単に"バレンシアアレンジ"というとそれまでですが、"真夏のオレンジ"と書くと随分印象が変わってきます。流石に"恋焦がれるオレンジ"とは言いませんが、好きな人によってはそれぐらいの印象の時もあります。

 南米系の天然の樹脂の匂いや、インドネシアの木の根っこの香りには、明るいイメージよりもうっそうとした森の中の奇妙な深さみたいなものを感じますから、”悪魔の露”みたいな名前がついても不思議ではなさそうです。

 最初から、香りのイメージや名前を言うことはありませんが、人によってはそれが強く影響していると思われるときは、その香りからのイメージをお教えします。しかし、香りの世界というのは不思議で、それが魔物の名前にしてもそれほど、不快感や怖れを抱くことはないようです。

 言葉や絵では恐ろしいものも、臭い悪魔となると途端に笑いに変わってしまうこともあります。”閻魔大王のわきが”などを想像してもより親近感が沸くこともあると思います。

 国の中では、シリアがもっとも悪魔が多いとされているようですが、その悪魔の名前を香りにあてはめる作業を随分まえからしています。その中でも有名なものに蝿の悪魔、Beelzebub(ベルゼブブ)がありますが、サタンに継ぐ悪魔の王だそうで、やはり前回紹介したガルバナムあたりを少し調香したものがよく合うのかなと思ったりしています。

 勿論、ローズ関係や白百合、鈴蘭などは天使やフェアリーのイメージがあって、一人の個性の香りをつくるには、そういう様々な天使や悪魔のイメージを乗り越えてつくっていかなくてはならないのですが、その時にその方の選んだ香りの好き嫌いの程度や他の香料との関係で、ご性格や今の精神の状態、将来の姿みたいなものが見えてきます。

 以前、記憶喪失になった方がいて、医師のカウンセリングを何度も受けてもうまくいかなかったものが、香りをつくる作業を繰り返すことで記憶を取り戻したことがあります。もっともその記憶は、本人にとっては思い出したくない恐ろしいものであったのですが、先ほどの話ではありませんが、香りに導かれると不思議と表に出てきたようです。

 上の写真は、僕が画廊をやっていたときにヴェニスで出会った作家さんのものです。作者はブバッコで、マドンナなど有名人が買いにくるものだそうですが、作品名は”悪魔の祝杯”だったと思います。ブバッコは悪魔をつくるのが上手くて、山羊の悪魔がもっとも評判がよかったそうです。

 悪魔に美しさを感じたことは無いですが、これにはしびれて購入し、直ぐにお客さんがついたことを覚えています。感性は、人の善悪を超えていますが、香りの世界でも悪魔や魔物は、魅力や神秘さをあらわすことが多いので、恐怖どころか落ち着きや心地よさを感じる方も多いかと思います。
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by fenice2 | 2007-10-28 19:28 | アロマ 香り
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