香りをつかう仕事が始まると、全く時間の感覚を忘れてしまいます。まず調香することで、大切なことは何の香りを選ぶかということにあります。 無作為にとったものが根拠があるものもありますが、香りに関してはその判断をする中で、必ずしも目の前にしたものを選んだからといって、それほど重要な意味があるとは限りません。 同じグリーン系のものでも、森をイメージしたものをチョイスするのか、高原のような緑のイメージをしたものを好んでいるのかは少し意味合いが違ってきます。次に花の香りを選ぶ際も、色が鮮やかで、匂いが極み立ったランのようなものを選ぶのか、小川の土手のミモザのような軽やかな香りを選ぶかでは、またイメージするものが変わってきます。 そうやって、香りで森や花、人や建物をなどを自ら選び、イメージしていくのですが、何時しか好き嫌いで選んでいただけでなくて、香りに引き寄せられるように、不思議な感覚でチョイスしていっているのがわかるようになります。 もっともこういう体験が出来るのは、こちら側からかなりしっかり手引きをしていかなくてはなりませんが、どのような方でも数時間は接していると、あまり選びきれなかった人でも順次パズルを積むように香りを選んでいって、何かイメージが出来上がってきます。 一つ一つの香りからは、小さな断片的な記憶や思い出しか浮き上がってきませんが、それが何十種類と重ねていくうちに、ずっと心の深い部分に降りていくような感じになってきます。勿論、心地よさも手伝っていますが、妙な恐怖心やおそれみたいな感情もありません。 15分おきか、もっと時間をおいて香りをきいてもらうと、先程まで好きだった香りでも、突然に嫌いになることもあって、逆に本来もっとも嫌いであったはずの香りでも、段々香りをきくほどに好きになってくることも多くあります。 香料や香りそのものは、何の変化もしていませんが、気持ちや心、感覚的なものは、その前後にきいた香りの影響や、様々なものが情景としてイメージされてくるにつれて、活発になにかを伝達しようとしてきます。 人によっては泣く方もおりますし、人によってはそのイメージを語っていくうちに、かなり落ち着いた気持ちになってくる人もいます。過去に様々なドラマや記憶があることで、今の感覚的なものが決められて(狭められて)くることが分かるかと思いますが、今まで、無意識におこっていた感情などがどこにつながっているかが分かると、金縛りや突然起こっていた不安感などが消える方も居るようです。 それが前世なのか、わかりませんがあらゆるストーリーやエピソードがあって、自分の感覚や感情が出来上がっていることを知ることは、どのような人でも本当は必要なことではないかと思うことがあります。 生命も今感じている感覚も、長い流れの中で生まれています。すべてではありませんが、香りはその目に見えない世界を表に出すには良いきっかけをつくってくれるようです。
by fenice2
| 2007-11-13 00:56
| 香りの記憶療法
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