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香りのイマジネーション

 
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 先日、お客さんの一人が或る展覧会に入選したので、記念にそのイメージの香りをつくって欲しいとご依頼され、重い荷物も持って会場まで出かけていきました。

 何時も、思うのですが、こういう大手の展覧会に来ても何か会場が埃っぽく、また香りも無い無味乾燥の世界で、どうも五感を刺激するまでもない空間にアートを鑑賞するだけのテンションが上がるのだろうかと考えてしまいます。

 その点、香りがあると突然五感が刺激されるようになります。不思議なことに同じようにみている絵でも、何かよい香りがあると、今まであまり見えてこなかった色やものが見えたりします。シャーマンが能力を高めるために香を焚くのも、芸術家が何か作品をつくる時に必要以上に一つの匂いや香りにこだわるのも同じような理由です。

 受賞した絵を、前にして作者と一緒に香りをつくります。グリーンが多い絵で、全体的に風の流れのようなものもあります。そういうイメージで香りを選んでいくと、ふと絵の中ではとても見づらい、控えめなローズが花瓶にさしてありました。

 絵の上手さや技巧に頼って、絵を描いていくと最期は自分のイメージしていたものとは違ったものになってしまうことがあると仰っていましたが、その点香りには形が無く、不確かな部分もありますが、感性とか好みには自由に配置できます。

 その方は、全体の雰囲気はその絵の通りグリーンで涼やかな感じでしたが、もう少し華があるような面もあるように感じました。香りを選んでいくうちに、必要以上にローズにこだわることがわかりました。ご自分でも何度もこんなにローズが好きだったなんて!と仰っていました。

 香りが、一通り選んで色々な話をするうちに、その方が本当はもっとローズを絵の真ん中に持ってきたかったと言われまして、受賞をして喜んでいたけどまだまだやることはあるとその結果が導き出されたことに喜んでいただきました。

 それからは、今後のことを色々話し合いました。絵を描くことは、自分のイマジネーションでやっていくことなのに、その絵が完成するに従って、今度はその絵に心が囚われてしまうことは、どうしても賞をとりたいとか、上手く仕上げたいとかそういう邪念が入ってしまうことになったとか、たった一つの香りをつくるだけで、こういう"心のドラマ"が始まることは嬉しいことです。

 最近、よく思うのですが人は心から作り出せるものがあると喜びを感じますが、それが無いとやはりツマラナク思える日が増えてしまうのではないでしょうか。

 心からイマジネーションしていくことはとても大切なことだと思います。恋愛も雑じりけの無い純粋なイマジネーションがまず大切だと思います。
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by fenice2 | 2007-10-12 18:48 | 二科展