手でつくる香りの仕事、技、作品ー心通う香りとは

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 最近、FACEBOOKにばかり投稿していますので、色々お読みになりたいかたは、Daisuke Tujiで検索してみてください。写真と同じ人物像が出てきます。

 それにしても、仕事の合間に時々、自分の手を見るようになりました。男にしては綺麗な手だと思いますが、それほど手入れもしていないので、所々に傷や赤みなどもあります。どこかの寿司職人のような美しい手とは言えません。

 しかし、この手で10年以上香りをつくって、様々なドラマをつくってきました。少し難しそうな顔をする人も居ましたし、感動して何度も握手をする人もいました。最近はどちらかというと、香りをつくると僕から離れられなくなる人もいます。

 僕は、自分の手をみて本当によくやってくれているなと思うこともしばしばです。嗅覚は、鼻にあるのですが、最終的な香りの判断は僕はこの手に委ねます。

 イタリアに居るとき、駄目な職人がいると必ず悪魔の手がついているなどと言っていましたが、僕もこの仕事を続けていて、なるほど手は口ほどにモノをいうとはよく言ったものだと関心することもしばしばあります。

 僕は、自分の手が好きですし、本当に自分の手ながら感謝しています。どれだけ調香で困ったことがあってもこの手は、全く迷いも無く答えを出してくれることも多いです。ピペットを持ったときにそれは何か吸い寄せられるように、手早く動いていきます。頭でわかっている以上に手は、次々と香料ビンを選び出し、分量をきめていきます。

 僕は、香りをつくるのがうまいのではないと思っています。

 そうではなくて、香りをつかむのが上手いのではと思っています。それもこの手がまだ見ぬ香りをつかんでくれています。つくることは、何時も試行錯誤で完成品が出来たなどと思ったことはほとんどありません。

 僕は、そういうことから人と会うときはよく手を見ます。そしてそこから感じるものを大切にします。仕事も、愛情も人間関係も実はこの手から生み出されているんではないでしょうか。職人でないから手は関係ないと思っている人は、ちょっと認識不足です。

 日々の生活の中で、手を使わずに暮らしてくると、まるで何かベルトコンベアーに乗っているように不安になってくるはずです。不器用さから、手作業を避ける人もいますが、幾ら他人がつくった美しいものに触れても、幸福感は長続きはしないです。

 僕は、手から香りをつくり夢を作り出しているのかもしれません。しかし、本当の夢はやはり自分の手で日々作り出さないと夢が幻想になっていますのも仕方がないです。

 僕の手は、自分の心を伝えるようになっています。それだけに心が何時も問題にされます。ですから、心が大切にされます。手から生まれるものが、心につながっていくのではないでしょうか。

 心だけで、手を添えることを忘れている人がいませんか。
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# by fenice2 | 2011-02-22 19:14 | アロマ 香り

北野天満宮の白梅の香りー香りが示す力

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 先日、北野天満宮に一番梅の香りを聞きにいきました。梅は一番最初に咲くものがもっとも香りが濃く、平安時代ではその香りの良し悪しによってその一年の動きを占っていたようです。今の時代でそういった古式ゆかしい行事がされることもないのですが、僕自身は香りの世界に住む人間として毎年行っています。

 この北野さんを訪れるまえに必ず寄るのは、白峰神宮ですが、どちらも人間への戒めを促す神様であることには間違いないのですが、特に僕は四国の坂出に流された白峰新宮の崇徳天皇に興味を持っていて、日本の社会が歪みをきたした時には、何故か大きな影響を与えるのではないかと勝手なながら予感してい、ます。

 白峰神宮は、鞠蹴りの行事が行われることから、いつしかサッカーなどスポーツのお守りとして有名になっているようですが、きしくも日本のサッカーが今力をつけている姿を見るとまんざらつながっていないのでもないだろうと感じたりします。

 やはり今年も足元から、色々騒がれることが多いので、さぞかし梅の香りも少し落ち着きのない香りが残っているのではないかと想像していきましたが、そうではなかったようです。季節の花の香りを聞きに行く場合、冬の花などは、なるべく日が落ちてからのほうが良いようです。椿などは、真夜中にもっとも甘い香りを漂わせてきます。

 夕方ごろを目処に境内に入りましたが、最初から甘く穏やかな香りに包まれていました。特に白梅の香りがとても心地よく心に入ってきました。少し黄色の老梅も良い香りがしましたが、なんといっても白梅の香りには素晴らしいものがありました。

 こうやって、京都を中心に日本中で良い香りのする場所を今年は、香りで再現していこうと思っていますが、とりあえず、その白梅の香りを再現しようと思っています。それが、おおげさではありますが、「地球の欝を香りで消すプロジェクト」のつなげていければと思っています。

 良い香りを聞くと、自然に心より感謝の気持ちが沸いてきます。こういった背景で我々はやはり生かされているのだということを実感しました。そういう意味では、そういった心から香りに聞き入ることが出来る場所が奪われ、失われているような気がします。

 スピブームとかいって、自分のパワーなどを拾いにいくという行為にどれだけの価値があるのでしょうか?神々しい場所には、必ず一言ではいえない深く貴重な芳香があります。我々は、それは一息すっと吸って感じるだけで汚れた記憶や思いでさせも浄化してくれるようです。

 感覚を研ぎ澄まし、なおかつ神々しい香りに触れることで次の時代の新しいステップが見つかってくるはずだと思います。良い香りと、それを感じる良い感覚がそろえば、強い想像力が生まれてくるはずです。それが日本人が古来から持っていた、エネルギーだと思っています。


 

 
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# by fenice2 | 2011-02-11 19:45 | アロマ 香り

世の中の鬱を消す香りプロジェクト

 以前から、僕は自分自身が苦労したせいもあって、自分の周りでも鬱々とした雰囲気が漂うのが嫌いでした。北欧やイタリアの現代的な家具をそろえたり、部屋に沢山の蘭や観葉植物を置いたこともありましたが、それでも自分の満足のいく環境をつくることは出来ませんでした。

 調香という、意味深な世界に飛び込んでいったのも、もっと身近なところで自分がほっとできる場所をつくることが出来たらというのが、最初のこの仕事へのきっかけでした。結果としては、一人一人の香りをつくることになりましたが、自分の仕事の方向性みたいなものをどこに向ければよいかは、色々試行錯誤してきました。

 人生において僕はもっとも大切なことは選択していくことだと思っています。もっとも身内や親などどうあがいても最初から決まっている存在もありますが、それ以外は毎日生きていて、選択をしながらいき続けています。

 調香というか香りを選んでいく作業は、その選択に似ていますが、その選択を見直していくことはとても不思議な体験をします。単純に選んだはずの香料を、幾つか並べていくうちにどこかのある風景を作り出してきます。自分がもっとも居心地の良い場所だとイメージしていた所だと言ってもよいかもしれません。

 或る人は、どこかの深い森をイメージするものであったり、或る人は沢山の菜の花畑のような場所なのかもしれません。そこには、自分の不安に思うものが少なく、もっともリラックスできる場所と言ってもよいのかもしれません。

 香りでつくったそういった幻想的な世界は、時間とともに変化してきますから、季節やその人の気分によって微妙に変わっていくものですが、根本的に変わっていくようなことはそれほど無いような気がします。

 たかが、香りといえども自分が本当にリラックスできる場所を見つけることは貴重な体験になるのではないかと思っています。単に気に入った香りや香水をつくることとは似ていて非なる現象です。

 自分の心地よい場所をほどほど得ている人は、こういった調香の作業が割りとスムーズに進んでいきます。最後もかなり気に入った香りになっているのだと思います。しかし、色々なストレスや苦労から、今現在の環境が自分の心地よいものから遠く離れている人は、この香料の選択をうまく出来ません。

 もっとも心地よさを必要としている人が、もっとも遠ざかってしまうのは一つには感覚が鈍っていることもありますが、自分の故郷ともいうべき心地よい環境が何であったのかも忘れてしまっているからだと思います。

 僕のような立場の人間の役割はそういうときにもっとも役に立っているのではないかと思っています。そういうストレスの多い人でも幾つかは、良い選択をしておきながら、わずか一本のためだけに全体を台無しにしていることも少なくないです。

 感覚が鈍り、自分が作り出すことに自信を失っていき、最後はなおざりの人生になっていくような気もします。今の若い世代に多い無し崩しに運が悪くなっている人も、香りをつくっていくうちにとてもよく理解できます。

 鬱々とした人が多くなるうちに、世の中は鬱々とした雰囲気が出来てくるようです。大枠でもよいので、人は自分のもっともくつろげる空間をイメージして作り出していかなくては、ずっと心休まる場所がありません。

 香りは、その役割ともっともよく果たすものだと思っています。セミナーや講演会などもっと広げていって、それらを体験していただいたらと思っています。

 
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# by fenice2 | 2011-02-02 18:57 | 調香・錬金術

香りに出来ることー若者の健全な心や気持ちを保つ

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 今年は、自分に課しているテーマは多いのですが、やはり出来るだけ若い方に良い香りを届けたいというのが本音です。イタリアも、僕が行き始めた15年ほど前は、まだエネルギーがある国でしたが、今は年配の方が多くなったせいもあって、何か重苦しいものも感じるようになりました。

 数値だけみると、EUの中でも若い層と年配の層がイタリアはかなりアンバランスで、一人の若者が抱える比率が大きくなっているようです。そういう意味では日本も似ているのかもしれません。

 萎縮された若者は、どんどん行動範囲が狭くなって、考え方や嗜好も偏ったものになりがちです。それで、何か問題があるとどうしても、一人で悩んでしまい自分で自分の可能性もつぶしてしまうことも多いと思います。また、社会も若者を守るほうにはなっておらず、自分の地位がいつ失うか分からない組織の中では、むしろ蹴落としているような光景もあるようです。

 香りに対して、本当はもっとも関心があって、積極的なのは若年層の世代であって、また使用頻度もほかの世代の人間に比べればぜんぜん違うと思います。企業からは、確かにたくさんの香水が売られていますが、しかし値段の割には中身がとてもチープなものも多いです。

 今の日本が、どこかギクシャクしていて生きづらいのは、僕の世代のような30代、40代の中間層がそういった世の中の中で自分のやるべきことを失っているからだと思っています。団塊の世代が、良い緩衝材のような役割になっていたかといえば、そうでもないのかもしれませんが、今よりはましだったのかもしれません。

 死を感じ始めた年配者たちが、必ずしも余裕があるとは言えば、むしろ子供のように戻って我侭に過ごしがちのような気もします。子供のために我慢していた生活からも離れ、今は出来るだけ謳歌しようとしている人も多いです。若い人のために何か社会のために、働きかけている人は稀です。

 三島由紀夫は、年をとるとなかなか美しく生きづらいと言いましたが、日本の軍部も最期は、特攻などで多くの若者の命を奪って、自分はのうのうと生き残ろうとした人も多かったように思います。いつも、犠牲になるのは、社会では弱い者や若者です。

 また、僕の年齢からみると、今の若者はとても社会や人に怯え、疑心暗鬼になっている人も多いように思います。たまたま、こちらから手を差し伸べようとしても悪魔の手のように思われてしまうこともよくあることです。香水事業で、若者向けのものを僕もいくつか作りましたが、ほとんどうまくいきませんでした。

 香料会社から、色々話を聞いても、モニターや市場調査のやり方にはとても大きな疑問があります。また、以前のようにいい加減な調査でつくった香水にのってしまうほど今の若者は甘くはないと思います。

 僕は、一人一人の香水をつくっているので、自然と自分の中で独自のデーターが集まっています。自分が作りたい香りと、作らないといけない香りは、似ているようでかなり違いますが、今年はそういった今の社会を意識した香りももっとつくっていこうと思っています。

 レモンなどを中心にしたシンプルな柑橘系のトップで、ミモザや松などを使った深みはあまり無いけれども、誰が聞いてもすっきりしたものが良いのではないでしょうか。何かやったらまだよく分かりませんが、出来るところから発信したいと思っています。

 
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# by fenice2 | 2011-02-01 22:37 | 調香・錬金術

欝にならない香り選びー心に忍び寄る滅びの匂い

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 NYでテロが起こってから、NYの市民の香水や香りに対する好みや嗜好ががらっと変わったように、香りと社会の出来事とは密接な関係があります。日本の経済が強くバブルのような時代には、とても刺激的な強い香水が流行ったものでした。

 しかし、僕がもっとも関心を寄せるのはそういったように香りが時代の流れとともに変化していくということは、その逆のものを封じていようとしているように考えています。

 今の時代は、癒しとか穏やかなイメージの香りが好まれていますが、なぜそういう香りが好まれるのか、香料の範囲では木々の香りや、グリーンをイメージするものが多様されるようになっていますが、そこにははっきりとした理由があるはずです。

 都会生活者が、日々の生活の中から失われてきたというのが大きな理由ですが、しかし本来自然に囲まれた地方でもそれらの香料を必要とする人たちが多いのでなんとも不思議です。人は、疲れたら確かに自然に入れば癒せますが、それだけで補えない心の暗さや深みもあるのも事実だと思います。

 逆をいえば、富士の樹海のようにいかにも自然のにおいが濃い場所でも、人は絶望を癒すどころか余計にその気持ちを高ぶらせてしまうのは何故でしょう。本来落ち着くべきはずの香りも、マイナスの効果を発揮する場合もあるように思います。

 人の心が、傷つき荒んでいった経緯は様々ですが、社会や世の中の滅びの匂いのようなものに触れたのは事実だと思います。滅びの匂いとは、何かと言われれば、精神世界では悪魔のような存在でしょうし、人の気持ちから生まれた恨みや執念、そのほかの醜い感情の集まりだといってもよいかもしれません。

 年に何回か玉藻のように、作品をつくるのは一人一人の調香をいていくうちに、こういった滅びの匂いのような共通のイメージがあることに気づかされるからです。去年から、鬼門香や厄香などもつくりましたが、自分で調香していても似ているような印象が多くありますが、それらの匂いが、まだまだ世の中の奥深い部分を流れているからだと思っています。

 よくどのような香りを聞けば、暗い気持ちから開放されるかなどと質問されますが、松やローズウッドなど木々の香りをお勧めしますが、やはりこの玉藻のように滅びの匂いをよく意識したものを使っていただくと人によって、とても喜ばれています。

 僕の香りの作品は、薬のような部分もありアートのように感動する部分もありますが、それだけ嗅覚で作り出していくのは、緻密な部分も多いのでどうしても伝えるが億劫になってしまいますが、今年は頑張って伝えていこうと思っています。

 
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# by fenice2 | 2011-01-19 20:10 | 滅びの匂い