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オリジナルという幻想

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 僕は、モノ作りに関わってからは、何時でもこのオリジナルと言う言葉とかそれが持つ背景のものと向き合ってきました。デザインは確かにそれらしい雰囲気をつくってくれますが、しばらくするとそれも何を主張していたのか分からなくなります。

 オリジナルよりも、ブランドとか有名なもの、そういうもののほうが商品になりやすいし、それらしいものを目指してつくったほうが受け入れやすいのかもしれませんが、僕自身はどこかで真似をしたり、コピーをしているようで恥ずかしく思って、常に新しいものやオリジナルと言うものにこだわってきたように思います。

 今の仕事は、当然ひとつひとつがオリジナルですが、そのオリジナルということ自体が何処まで伝わっているのだろうと思うことがあります。僕たちのような感覚の世界からみると、一人一人は確かに違うものを持っていますが、何も毎日を、その個人的な感想や、感動だけで生きているわけではないように感じます。

 最近、もっと若い人に手には入りやすいものでつくっていかなくてはと思っていますが、値段云々もありますが香水とか香りが、しっかりとした基準がなくなっているのではと思っています。一応、欧米人にとって、香りは服の一部のように思っている人も多いですから、代々決められたというか好みが決まっているものがあって、NYなどでは今でも娘さんの香水を父親が買ってきたりします。

 20代や10代の人たちが、いきなり自分に合う香りを選ぼうとしても、結局は流行やそのときの好き嫌いで決めてしまうので、なかなかうまくいくことはないように思います。それに加えて、広告のサブリミナル効果でもうほとんど雰囲気で香りを選んでいる人も多いのではないでしょうか。

 最近、ある大手企業の開発の人間と会いましたが、もう今後はあまり若い子向けの商品を開発出来ないとのことでしたが、企業でさえもあまりにも移り変わる若年層の好みについていけないようです。

 僕が感じることですが、香りに関わらず、もういい加減個性とかオリジナルということにうんざりしているのではないでしょうか。個性教育とか、オリジナル性の重視と言った所で、自分に伝わっているしっかりしたルーツが無ければ、何もかも幻覚のままに終わってしまうような気がします。

 サッカーの俄かファン現象もそうですが、何かもっと共感するものを日々求めているような気もします。自分が良いと思うだけでなくて、第三者も喜んでもらえるようなものを実は日々探しているのではないでしょうか。僕自身は、こういった世代の人は余り仕事にしてこなかったのですが、ちょっとそういうものもつくってみようと言う気になっています。

 

 
 
 

 
by fenice2 | 2010-06-30 15:09 | アロマ 香り
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