<< 職人でもなく、芸術家でもなく、... 東山の勉強会のお知らせ >>

世界の頭脳労働者 a brainworker

f0149554_14504177.jpg


 糸川英夫という人を、忘れる世代が多くなってきました。僕自身が、先生と接したときはもうかれこれ80を過ぎていた頃ですから、言い方を悪いのですが研究者としても、人としても完全にピークは過ぎていたのですが、それでも過去の色々の話を聞くと、この人は単に頭脳明晰でない何かを持っている人だということがよく分かりました。

 今、いとかわと言われている小惑星は、糸川先生からとったものですし、探査機はやぶさは、戦時中の先生が設計した戦闘機はやぶさからとったものです。先生の遺骨は、種子島の宇宙センターから幾つか探査機に乗せて飛ばしたそうですが、今回の探査機にもほんの少しだけでも入っているのかもしれません。

 今思い出すと、先生はよく人の戦いは頭脳戦争のようなものだということを言いましたが、大きな戦争や争いも実際には小さなテーブルのうえで行われているのに等しいと言っていましたが、チャーチルなどはヒトラーと仮想チェスをやって何度も打ち負かしたといいますから、満更関係ないわけではないのかもしれません。

 今でもそれらしいものは、ゲームなどにもあるかもしれませんが、バーチャルのみで終わってしまいそうで、およそ現実には結びついていかないのかもしれません。

 久しぶりに大学のランキングをみれば、随分前に知ったいたものと、あまりに変動かあったので少しカルチャーショックを受けています。僕の頃は、留学といってももっと自由でラフなものがりましたが、今は多くの人が経験しているので、かなりシステム化されているのではないでしょうか。

 日本が戦争に負けたのは、今の官僚機構に通じたものがあるとも先生は言っていましたが、それ以上に感性やセンシティブなものがなかったとも言っていました。そのときはあまり意味がよくわかっていなかったのですが、先生の名前を今でもNASAの殆どの研究者は知っていますし、アメリカの航空機関係の年配の技術者も、憧れのように覚えているのは、よほど飛びぬけた先見性があったのだと思っています。

 あいにく、僕はあまりよい弟子とは言えませんでしたが、それでもイスラエルの大学の軍事研究所に入れたことは今でも、色々な意味で自分の人生を変える大きな原因になっているような気がします。ユダヤ人の武器のバイヤーにも会いましたが、自分が余りにも知らなかった世界観を持っていることに驚きと諦めみたいなものも感じました。

 その頃、僕は父の会社の100億近い負債を背負わされ、どうすれば会社が再建出来るかを模索していました。イスラエルの留学もそういう中でのことでした。世の中は、バブルでしたが、金融の仕組みみたいなものがなんとなくユダヤ人と接するうちにその終末がはっきり見えてきました。

 経済というもっともらしいものには、実は哲学も理論も人間工学も加わっていません。江戸時代、商人はもっとも身分が低くされていましたがあれは満更悪い制度ではなかったように思います。ヨーロッパの貴族やマリーアントワネットまでも陥れたのは、商人そのものであったように思います。

 先生は、1929年の世界恐慌も経験され、世界経済の仕組みが如何にあやふやで、場渡り的なものであるかもよく話していました。別のデーターを見ますと、その世界のトップランキングされた大学の学生の半数近くは、まだ懲りずに金融関係に従事するとのことでしたが、これが意味するところは明るくないものです。

 戦争で一儲けした資金がだぶついて、その暗黒の資金が再び金融界の中に流れ込んでいって、色々な思惑や欲望が蠢き、今回の金融危機を招いたのだという人もいます。日本でも、最近とくに素人同然の人が為替に手を出したり、中途半端なアイデアの持ち主が、経済セミナーのようなものをつくって、よからぬ儲け話しに手を貸しています。

 B29は、高射砲でも落とせないほど高い空域を飛んでいたのですが、その頃日本の戦闘機はそれほど高い空域には飛ぶことは出来ませんでした。しかし、糸川先生によると、小さなリモコンできる飛行機ならば、その頃の技術でも、届いただろうとのことでした。

 技術、感性、センスがこれからの時代のキーワードのような気がします。僕のいる香水界も再び巨大な資金を投じて、まがまがしい香水をつくろうとしています。香りそのものの良さがわからない若い人などは、そういった商品に容易に乗ってしまうでしょう。

 感性の仕事の人は、今の日本がそういった世界の頭脳労働者から狙われていることによく気付くことです。日本の企業は英語化して、益々海外の優秀なブレーンを集めていきます。日本人の元々の感性は、とても繊細で豊かなものがあります。それらで独自の文化や経済圏をつくっていけば、そういったまがまがしいものから逃れることが出来ると思います。

 感性を身に付けるには、何よりも感覚を磨くことですが、その中でもやはり嗅覚は大事です。坂本竜馬も香りには、こだわりがあって初めてヨーロッパの香水を身に付けた人だとも言われています。

 香りや匂いは、色々な物を運んできます。それを受け止める人があやふやならばせっかくのメッセージも台無しになってしまいます。


 
[PR]
by fenice2 | 2010-08-20 16:08 | 糸川英夫
<< 職人でもなく、芸術家でもなく、... 東山の勉強会のお知らせ >>